エロゲーマー達よ、これが純愛だ

※この先新作エロゲのネタバレがありますのでご注意ください。
「放課後シンデレラ」はHOOKSOFT20周年記念作品として、2020年8月に発売されました。

ライター陣には10周年記念作品であるさくらビットマップ以来の執筆であり、Orange Pocket、_summer、HoneyComing等で黎明期のHOOKSOFTを純愛ブランドとして押し上げた功労者である川波無人先生がいらっしゃるということで、期待はにわかに高まっていました。

まず結論から申し上げますと、最高の作品でした。正直HOOKSOFTの最高傑作と言っても差し支えない仕上がりとなっています。

その内容を当ブログとしては珍しく、各ヒロインごとに語っていきたいと思います。


※重ねて申し上げますがこの先重度のネタバレがありますのでご注意ください。




田寄多乃美 ルート
主人公と同じ日に同じクラスに転校してくる好奇心旺盛な明るいヒロイン。
この子の魅力はなんといっても真っ直ぐなところ。ストレートに感情を表現してくれるヒロインってそれだけで魅力的に映るもんですよ。
シナリオ展開はまさに王道の友情発恋愛行きの理想的な形。
付き合ってすぐの手を繋ぐくだりで無限にいちゃついてるとかもう最高すぎる。
好奇心旺盛が故にそれを気にして主人公に気を遣おうとするシーンがあるのですが、それに対して主人公がありのままで良いんだよと肯定してくれるのとかも、お互いのことを想い合い尊重できるカップルとしては理想的な形ですね。
このルートの命題として「運命」という言葉が出てきます。
実はこの二人はかつて子供の頃に出会ったことがありますが、結局その真実をお互いが気づくことはありません。
「運命って、あると思う?」
この問に対し主人公がどう答えても、多乃美ちゃんは笑顔を返してくれます。
この二人にとって「運命」なんてことは些細なことで、出会って仲良くなり結ばれて今があること。
それこそが「幸福」なのでしょう。

築島つくし ルート
主人公に助けられて以降、主人公のことが気になりこっそりと物陰から見守るストーカー健気な後輩。
ずっと主人公に助けられてばかりだから自分もお返しがしたい!と行動するものの空回りしてしまうのを主人公が受け入れてあげるっていうのが良いですね。
内気ヒロインかと思えば突拍子もない言動や行動をしたり、寝顔をちゃっかりと撮影したりするなど大胆かつお茶目な面も見え隠れしています。

なんと言っても疑似同棲というパートがあるのがもうとっても良い。こんなのつくしちゃんの新妻だいあり~じゃん…。
ウエディングドレスモデルの撮影当日、サプライズでクラスメイトがエキストラとして祝福しに来てくれたり周りの暖かさもとても良いです。
エピローグでしっかりと新妻してるつくしちゃんは言わずもがな最高でした。

宇佐川雪子 ルート
主人公に合うたびちょっかいをかけてくる先輩。
このルートではヒロインの所属する新聞部のメンバー3人が多く関わってくるのですが、この3人がいい味を出している。雪子先輩のことを理解してるが故に結託して主人公を弄ったり、時には雪子先輩のことを弄ったりとこのルートに欠かせないスパイスとなっている。
付き合うまではさんざん主人公のことをからかったりしたくせに、いざ自分が主人公のことが好きだと自覚すると今までの言動のせいでどう言っても冗談としか捉えてもらえないんじゃないかと思い悩む乙女な姿のギャップにやられた人は多いのでは。
告白に答えるシーンで「行動で示す」とファーストキスを捧げるシーンは「シナリオライター、このヒロインの魅力を最大限に出す方法を理解してるな」と感じました。
付き合ってからは付き合う前と打って変わって、主人公の言動に押されて照れたりチョロインな面が隠しきれずに溢れ出したり、ヤキモチを焼きまくるなど元来の寂しがり屋の正確が表にガンガン出てくるようになりました。
最後に先輩と後輩という垣根がなくなり対等に名前を呼び合っていたのも印象的です。

王城 茉莉愛 ルート
唯一の他校ヒロインでありミッションスクールに通う同学年のお嬢様。
一見王道系のお嬢様と見せかけておいてその中身は超絶アグレッシブ特撮ヲタゲーミングお嬢様
主人公の制服をガチで1,000万円で買おうとしたりと「富、名声、力」すべてを使い主人公を攻略しにかかります。
そこまでして主人公に執着する理由は幼い頃引きこもりがちだった中連れて行ってもらった特撮ヒーローショーで出会った主人公に救われ立ち直った過去から来るものです。10年溜め込んだ愛はとてつもないものです。
付き合ってからも「テレビで温泉特集を見て二人で行きたいからと弾丸ツアー決行(帰りは自家用ヘリ)」「主人公と一緒に学園生活をしたいから主人公のいる学校に一日体験入学」と自分の持てる全てを使い主人公を愛するその姿はまさに圧巻。まさか本作屈指のギャグ強めルートだと誰が想像しただろうか?(正直変人メイドの存在で少し察してたところはある)
個人的に温泉旅行で向かった場所が恋咲き町だったのが最高にファンサでした。ありがとうございます。

長南陽佳 ルート
HOOKSOFTの幼馴染は強い、それが昔からの定石というもの…
断言しよう、その言葉に間違いなど存在しなかったことを。
再会したばかりのときはイマドキギャルになっており主人公に対してもどこか一歩引いた感じていた陽佳、だが付き合い始めるともう主人公好き好きオーラ全開ヒロインへと大変貌を遂げる。
同時に独占欲もバリバリに表立って出してくるのもう最高。それで一緒にペアリング買いに行って指輪をつけ合うとかもう結婚だろこれ…
普段はコンタクトレンズをつけてるのに自分の部屋で一緒にいる時だけは昔のメガネ姿を見せてくれたりするのも良い。
「実は昔も主人公のことが好きだったんだけど、再会して再び接するようになるうちにまた好きになった」陽佳から伝えられるこの気持ちは幼馴染として過ごした過去、そして再会して結ばれた今。どちらも陽佳にとっては大切なことであるということを示した象徴的なセリフで印象に残ります。
最後のエピローグで出てくる二人の子供のシーンはHOOKSOFTわかってんなぁ!となること間違いなしです。ぜひ買ってみてくれ頼む。

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HoneryComing以来HOOKSOFTが掲げてきたブランドテーマである「純愛ゲームはHOOKが完成させる」この言葉はHOOKSOFTを体現する言葉として、またある時には皮肉として使われてきた過去があります。

正直に申しますとイチャラブ勢であるわたくし個人にとって、HOOKSOFTのイメージは「安打製造機」でした。フルプライスで数ルートは当たりがある、安定はしてるけど大きなパンチ力に欠けている。そんなイメージを長らくもっていました。
しかしそのイメージはAmenity's Life以降のHOOKSOFTからは徐々に薄れているように感じます。
この頃の転換点と言えばSMEEの代表である宅本うと氏がHOOKSOFT作品のプロデューサーを務めることになったことが大きいと感じます。

最近のTwitterとかのつぶやきを見ますと「HOOKSOFTのSMEE化が進行している」という意見を散見するようになりました、確かにそれは宅本うと氏が関わるようになったので当然のことなのかもしれませんが、自分はそれだけではないと感じます。

元々HOOKSOFTが作ってきたエロゲーというのはヒロインと結ばれて、イチャついて、何かしらシリアス含む山場があってからの大団円といういわゆるガチガチの王道スタイルが多数でした。
その王道スタイルの中どうしても汲むことのできない意見だったり変化球的な題材を世の中に出すのがSMEEの役割だったのです。(この辺は晴れハレは~れむのインタビューで見た気がします)
しかし時代とともにユーザーの趣向というのは移り変わります、その結果かつてはHOOKSOFTでできなかった「ノーシリアスノーストレスでの恋愛」がHOOKSOFTでも出来るようになったのでしょう。
かつてはヘタレ主人公ばかりと言われたHOOKSOFT主人公も近年の作品では積極的になってきています。

なのでこれは「HOOKSOFTがSMEE化」したのではなく「SMEEでしか出来なかったことがHOOKSOFT」でも出来るようになった、というのが正しいのではないかと思います。
SMEEが今年出した作品に実に12年振りとなるハーレム作品「HaremKingdom」があります。
あのSMEEがハーレム作品!?と思われた方が多いでしょうが私自身はあまり驚きませんでした。
「HOOKSOFTでできないことをするのがSMEE」という基本理念からすれば、SMEEが新しい可能性を探求するのは当然の帰結であるからです。
かつて傍流であったSMEEが探求し続けた純愛はHOOKSOFTという主流に受け入れられました。
そうしてSMEEはまた新たなる純愛を探求し続けることでしょう。

20周年という節目の作品に見事なる純愛を完成させてくれたHOOKSOFTに心からの称賛を送ると共に、今後とも最高の純愛を見せ続けてることを祈りつつ、本記事の締めとさせて頂きます。
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